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2011年11月29日
おすすめ本のご紹介 『明日のコミュニケーション』
この記事は、2011/11/28配信の「出版業界を生き抜く!『ネット活用研究所』」メルマガの記事を若干修正し掲載しています。「出版業界を生き抜く!『ネット活用研究所』」メルマガのご購読はこちらから。
おすすめ本の紹介 『明日のコミュニケーション』(アスキー新書、佐藤尚之著)
この本のサブタイトルは「『関与する生活者』に愛される方法」とあります。
ソーシャルメディアが普及した結果、関心のあることに積極的に関わっていく「関与する生活者」が増え、それに対して、企業はどのように対応していけばいいのか、を説いた一冊です。
ソーシャルメディアのうち、特にツイッターやフェースブックでは、簡単にニュースやブログなどのネット上のコンテンツ、あるいはフォローしたりフレンドになっている人の日頃のつぶやきを転送(RT)したり、いいね!したりできます。これにより、以前はあまり関与できなかった人も関与できるようになってきた、と著者は言います。
そして、面白かったり、感情を揺さぶるようなコンテンツはあっという間に知っている人同士から友達の友達、というつながりで、全然知らない人にまで広がっていきます。
このようなソーシャルメディア上の情報の広まり方から、著者たちが開発したSIPSという生活者消費行動モデルを使って、いかに生活者とコミュニケーションしていくかが語られています。SIPSは、
・Sympathize(共感する)
・Identify(確認する)
・Participate(参加する)
・Share & Spread(共有&拡散する)
の略です。
ただし、人によっては、これまでのマスマーケティングによくそぐったモデルであるAIDMAや、ネットを使っていてもあまりソーシャルメディアを使いこなさない人だとAISASの方が妥当なケースもあるとのことです。
SIPSで特に企業が気をつける点として、何と言っても、伝えたいメッセージに共感してもらわなくてはいけないので、これまでの広告のようないいところを押し付けるようなスタイルではなく、いかに消費者のつながりの中で信用を持ってもらえるようにふるまい、つながりの中で役割を果たし、貢献し、影響を与えていくのか、が重要とのことです。
そして、このような消費者との関わり方をしようとすると、今までのマスマーケティングの前提となっていた、大量生産し大量消費させる、ある意味で刹那的なキャンペーンを繰り広げ、新製品を買ってもらう、という取り組みではなく、相思相愛のサービサーと消費者が、お互いに信頼しあって、長期的な関係性を築いていく必要があります。
出版業界への示唆としては、もちろんビジネスとして、ソーシャルメディアを活用した新刊・既刊のマーケティングを行う際に参考になりますが、それに加え、今後、「関与する」読者が増えてくる中で、出版社がどのような立ち位置を取るべきなのか、という点で、いろいろ読み込んでいただけると思います。
前著の『明日の広告』(こちらもアスキー新書)と合わせ、おすすめします。
2011年11月23日
読まれるメルマガとは
この記事は、2011/11/14配信の「出版業界を生き抜く!『ネット活用研究所』」メルマガの記事を若干修正し掲載しています。「出版業界を生き抜く!『ネット活用研究所』」メルマガのご購読はこちらから。
ちょうど一年ほど前、当社にて「メールマガジン活用勉強会」というのを主催いたしました。
10数社の出版社様にお集まりいただき、配信サービス大手のパイプドビッツからも登壇していただいて、 様々な事例や悩みを皆さんとお話しした覚えがあります。
ソーシャルネットワークが完全に根付いた現在でもメルマガは相変わらず一定の強さを保ち続けており、むしろ、有料メルマガが続々と発行されるなど一部では強まってさえいるように思えます。
しかし、本当にメルマガは読まれているのでしょうか?
私も仕事柄、多くの出版社のメルマガを購読していますが、多いからこそということもあり、多くのメルマガは開封しないまま終わってしまいます(大変申し訳ありません)。
勉強会でも、タイトルや配信日時、改行の位置にいたるまで「メルマガを読んでいただくため」に執筆者の皆様が色々と努力なさっていることはわかっているのですが、全てに目を通す、というわけにはなかなかいきません。
そんな中で私が1社だけ毎回必ず読んでしまうメルマガがあります。
それは、どこかといいますと文藝春秋のメルマガ「新刊ニュース」です。
ではなぜ文藝春秋のメルマガは読んでしまうのか。
その秘密はメルマガのタイトルで明白です。文藝春秋社のメルマガのタイトルは基本的にこれで始まります。
「お好きな1冊プレゼント!」
そうなんです。文藝春秋社のメルマガは、基本的に新刊紹介のメルマガなんですが、毎回その月に出た新刊をプレゼントする、 という企画ものになっているのです。もちろん、応募者全員ではなく、抽選
なのですが。
人間というものは現金なもので、「無料」という言葉に弱い生き物です。
文藝春秋のメルマガは、単に「今月はこの本が出ました」と紹介するのではなく、「好きな一冊をプレゼントするから選んでね」という形にすることで、読者に「読まなくては損するかも」という気にさせています。
結果的に「今月は特に欲しいものがないな」ということがあっても、読者には本の存在をアピールすることができるわけです。
当然、応募して抽選に外れれば悔しくなり、買って読む読者も出てくることでしょう。
この戦略は見事だといつみても思います。
文藝春秋の新刊ニュースメルマガは、単行本・新書・文庫と毎月3回くるのですが、その3回が迷惑などころか楽しみにすらなります。
このメルマガ戦略がベストだ、というわけではありませんが、少なくとも私のような読者には効果があるということはわかりました。
とはいえ、一応業界の人間としてはなかなか応募しにくいもので、応募しようしようと思いつつも一度もしたことはないのですが。
かくいう弊社のメルマガがどのくらい読まれているのかは分かりませんが、皆様の参考になれば幸いです。
(坂)
2011年11月16日
インターネット事業を行う時に考慮すべき法規制
この記事は、2011/11/14配信の「出版業界を生き抜く!『ネット活用研究所』」メルマガの記事を若干修正し掲載しています。「出版業界を生き抜く!『ネット活用研究所』」メルマガのご購読はこちらから。
先日、消費者庁で「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を発表し、フリーミアムや、グルーポンのようなフラッシュマーケティングを使った事業を行うに当たってのガイドラインを発表し、ネット事業関係者の間で大きな話題になりました。
今回の「ネット活用研究所」レポートでは、それに限らず、ネットで事業を行う上で必要な法規制を、ドメインの取得から特定商取引法まで、できるだけ網羅的に紹介しています。
もちろん、全てを詳細に触れることはできませんので、官公庁などが出しているガイドライン、業界団体、また、いくつかの本を参考に、知られていなさそうなものを選んでいます。
今回、いろいろ調べてみて、法規制は事業者を縛るという側面もありますが、自分の商標と同一のドメイン名を取られた時の対抗策が用意してあったり、あるいは掲示板に誹謗中傷や公序良俗に反する書き込みがあった時、消さないと違法情報を媒介したとされる恐れがある一方、書き込み者の承諾なく消すと表現の自由に抵触する恐れがあります。そのため、掲示板管理者の責任を限定する法律があるなど、事業者を守るようなものもありました。
当レポートが、各法律について詳しい知識を持ち、活用する第一歩になれば幸いです。
このレポートをご希望の方はお手数ですが、mm[at]dcube.co.jp ([at]は@に置換ください)に「法規制」レポート希望の旨お書きいただきメールをお送りください。
お待ちしております。
2011年11月04日
われわれは『FREE』から何を学んだか?
この記事は、2011/10/25配信の「出版業界を生き抜く!『ネット活用研究所』」メルマガの記事を若干修正し掲載しています。「出版業界を生き抜く!『ネット活用研究所』」メルマガのご購読はこちらから。
クリス・アンダーソンの『FREE』(NHK出版)が発行されてから、そろそろ2年が経とうとしています。
日本でも16万部以上の大ヒットとなった本書は、「フリーミアム」という新たな概念を説いたその内容と同時に、Twitterを初めて本格的に使用したプロモーション、そして前代未聞の全ページ無料立ち読みでも話題になりました。
この2年の間に、「フリーミアム」はわれわれの社会に浸透してきています。そのもっともわかりやすい事例がモバゲーとGREEに代表される「無料ケータイゲーム」でしょう。
この「無料」の表示については色々問題となりましたが、「フリー」でユーザを集め、「プレミアム」で課金する、という図式はまさしく「フリーミアム」です。
図らずもモバゲーがプロ野球チームを買うというところにまで成長したというニュースが世間を騒がせていますが、これ以上ないフリーミアムの成功事例でしょう。
ネットの世界では他にもmixi、ニコニコ動画といったサービスがこうした「フリー」でユーザを集め、「プレミアム」で課金する、というモデルで成功を収めています。
またFacebookやGoogleは無料で人を集めるサービスを作り上げることで、広告媒体としての力を強めるというビジネスモデルです。
しかし、電子書籍の分野では既に出版のフリーミアム事例も多数出てきています。
もっともわかりやすい例はコミックの「1巻無料ダウンロード」でしょう。iPhoneやAndroidアプリで提供される電子コミックの1巻を無料アプリとして提供し、続きが読みたい場合は「課金」という非常に正統派のフリーミアム戦略です。
実際、このパターンの電子コミックの売上は他の商品と比べて好調のようです。今後、電子の世界ではますますこうしたフリーミアムの事例、戦略が出てくるでしょう。
また、見方を変えて「紙」の本こそが「プレミアム」である、という課金体系も考えられると思います。
遅かれ早かれ「コンテンツ」がフリーになる時代、もしくは「フリー」のコンテンツが溢れかえる時代はやってきます。既に音楽やゲームはその淵に立っています。
そうした時代を迎えたときに「パッケージ」としての「本」を売るために何ができるのか、もしくは「コンテンツ」を提供する会社として何ができるのか、われわれ出版業界の人間が考えねばならない大きな問題と思います。
(坂)



