« 2006年11月 | メイン | 2007年01月 »
2006年12月18日
新刊点数は多い方がよい?!
いつも毎週週末に業務日誌のエントリーを書いているのですが、今回は師走のせいか時間がなく、週末に自宅で書いたものを今アップすることになってしまいました。
さて、1年に発行される新刊点数は出版科学研究所によるとこの10年で1万3千点増え2005年は76,528点になったそうです。
点数が増えたことで現場が大変という声をよく聞きますが、たまたま読んだ「エンタテインメント事業のマーケティング」(ダイヤモンドハーバードビジネスレビュー2007年1月号掲載)という論文に、新刊点数を増やすのはいいことだという主張がなされており、目を引きました。
もともとこの論文は出版業界に限らず、音楽や映画も意識した書き方になっており、例えば、原文の表現では、「新刊点数を増やす」でなく「賭けの数を増や」す、となっていたりします。そこで、その主張を出版業界事情に即してご紹介していきたと思います。
さて、早速ですがこの論文ではヒット作の予測はそもそも不可能である、ということで、5つの対策を提案しています。
1.新刊点数を増やし、刷り部数を小さくする
これまで出版業界で言われていた、新刊点数が多すぎるので、少数精鋭にして部数を増やせ、というテーゼとは真っ向から対立しています。しかし、この論文では、今はそもそも何があたるか分からない時代だとしており、そうだとすれば数打ちゃ当たる、という考え方は確かに指摘のとおりだと思います。
2.読者の反応を調べる
ブログやネットコミュニティなどを活用して、個人や潜在読者となりそうなコミュニティの反応をリアルタイムで追跡・把握するとよいとのことです。
ハガキの感想を待っているなどという施策ですとなかなかリアルタイムにはできませんので、ネット時代ならではの施策と思います。
3.予算を柔軟に配分する
当初の計画にとらわれることなく、読者の反応に対応して柔軟に組み替える必要があります。「その際、過去のデータや直感にこだわってはいけない」とのことで、「好意的に反応した消費者に的を絞り、発売後のマーケティング活動や予算をそこに集中させるのが肝心」とのことです。
4.自然発生する社会的影響を活用する
本の支持者が現れたら、「この人が注目されるよう仕向け、社会的影響を増幅させてい」きます。ある実験から、エンタテインメント作品の成否は質というより、社会的にどのような評価をされているのかが鍵となっていることが示された、とのことで、本を買う際に高評価であることが参照されるようにしていくことがヒット作への道となります。
5.流通や契約条件に融通性を持たせる
初版の印税率を下げたり、在庫リスクに応じた掛とすることで、今より低リスクで本の制作・流通ができるようになると思われます。
新刊数が多いことは必ずしも間違っていない、という指摘は言われてみればもっともと思います。実際、少なく刷って、売れるというPOSデータが得られた時に一気に増刷をかけ、取次・書店と連携して売り伸ばすことは、私が書店にいた頃から比べればかなりうまくなってきているのではないかと思います。
ただし、ネットの口コミ情報を追いかけることが不十分に思われ、リアルタイムの読者の感想をうまく仕掛けに活かせていないように思われるのと、新聞等に偏った硬直的な宣伝予算の配分がされているように思われます。特にスタートアップ時には以前ご紹介したPPC広告(検索エンジン広告)は低予算で出広できるのでおすすめです。
また、4.については、この論文には施策を具体的にどうやればいいのかについての示唆があまりなく少し残念でした。このような口コミ系のマーケティング施策は炎上などの逆効果を生むことも多いのでおいそれと取り組めないのではないでしょうか。
さかのぼって、出版社は新刊点数が多いことを前提とした制作・流通の体制作りをしていかなくてはいけないことを痛感しました。その一つとして、自社サイトの充実は、読者のフィードバックを自然に集めていく上でも必須と思います。(寺島)
2006年12月15日
学研、出版とネットのクロスメディア事業を開始。22の連動サイトを開設
学研、出版とネットのクロスメディア事業を開始。22の連動サイトを開設
立ち上げるサイト一覧が壮観です。
高千穂交易 図書館等に向け販売強化 スイス社のRFIDソリューション
高千穂交易 図書館等に向け販売強化 スイス社のRFIDソリューション
本にICタグをつけて管理することは既に当たり前になりつつあると感じていましたが、利用者の入退出管理までも含めたソリューションが出来ているのにビックリしました。
カウンターすら通らず、本を持ち出せる時代が来るかもしれませんね。
2006年12月12日
過剰広報予算:小泉メルマガ、官邸HPに年間7億円超-今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
過剰広報予算:小泉メルマガ、官邸HPに年間7億円超-今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
想像通り、Web関係の仕事してる人のブログに「10分の1でいいからウチにやらせろ」というニュアンスのコメントが乱立してます。
2006年12月08日
将棋とネット
僕の趣味の一つは将棋なのですが、ネットが将棋に与えている影響も大変大きなものとなっています。
ネットで見知らぬ人と対戦できるサイトで将棋倶楽部24というものがあり、しかもここは無料なので、総本山の日本将棋連盟が立ち上げた有料サイトよりも圧倒的にこちらの方が人気サイトとなってしまいました。もちろん僕も将棋倶楽部24で指していて、その影響で、リアルの将棋道場には、歩いて5分なのに足が遠のいてしまっています。
それから、今年、マスコミ等でも大きく取り上げられた、名人戦をどこの新聞社が主催するか、という問題にも大きな影響を与えたことを知りました。これまで毎日新聞社だったものを朝日新聞社に移管するというもので、実はここにもネットが普及したことの影響があったようです。
この件で、日本将棋連盟と理事会は大変批判されて、信義を取るのか金を取るのかなどと言われました。しかも毎日新聞から朝日新聞に移管すると、いったん収入は増えるものの5年後以降は収入が2億円減るかも知れないという試算までありました(主催と契約金については下記注参照)。
しかし、ここ数年の収入を優先をさせたのだそうです。これは将棋界へのネットの浸透で、これまでプロの将棋は紙媒体かテレビでしか公開されてこなかったものが、ネットで公開されるようになったり(例えば「大和証券杯ネット将棋棋戦」)しつつあること、そして、新聞自体もネットの脅威を受けている中でいつまでも棋戦を主催し契約金を支払い続けてくれるか分からないという危機感があったとのことでした。
将棋連盟の理事がある新聞社の社長の発言を次のように紹介しています。「新聞は近い将来、予想もできない大きな変化に直面する。その変化に柔軟に対応する覚悟が必要だ。」
これを読んでこの理事は「背筋が寒くなる思い」がしたと言っており、大型の棋戦がいきなりなくなってしまうことも想定して日本将棋連盟の理事会が意思決定したことがうかがえます。
さかのぼって、新聞社も、私どもで先日発行しましたDcubeNewsLetterの11月1日号(PDF104KB)でご紹介したような新聞が読まれなくなってきているという統計データが現れてきていることを重く受け止めていることが分かります。
新聞と書籍・雑誌はメディアとしての性質が異なり、新聞の方がよりネットの影響が強いと思いますが、対岸の火事ではないと思います。
(注)プロの将棋の棋戦を主催すると主催者は契約金を日本将棋連盟に支払い、この将棋の棋譜を独占的に掲載する権利を得ます。これが日本将棋連盟の主たる収入となり、ここからプロの将棋棋士は対局料をもらっています。
新聞社はこの棋譜目当てに新聞を買ってくれることを期待して棋戦を主催するわけです。
参考文献:「将棋世界2007年1月号」
2006年12月02日
先期の振り返り
昨日、無事経営計画発表会も終わりました。
ちょっと野心的な目標を立てましたが、社員一同でこつこつと努力をしていけば実現できる目標と思っています。みんなといっしょにこつこつと、それから、みんなのこつこつのサポートをしていくつもりです。
それはさておき、先期の事業の振り返りをしていまして、新規のお客様のリニューアルのような大きな案件だけでなく、既存のお客様からいただくお仕事も少しづつ伸びていて、ありがたいことだなあと思いました。
これらは立ち読みソフトのActionBrowserやActiBook関連の業務だったり(ActionBrowserやActiBookについてくわしくはこちらをご覧ください)、ブログ設置だったり、なのですが、金額は小さいものの何社かから、あるいは何回かいただいたので、金額としてはそこそこのものになったということです。
出版社でもネットへの投資機運が高まっているのは間違いないようです。
(寺島)
2006年12月01日
SNS市場、2009年度には9倍・554億円に
ITmedia News:SNS市場、2009年度には9倍・554億円に
広告費以外の収益比率が伸びていることが特徴だそうです。



